
3人しかいない!?
技術英検プロフェッショナルという、動物園で言うところの「ターキン」的な資格試験を受けてきました。

ターキンって?

知らないでしょ!? 多摩動物園の隅にいる、かわいい牛みたいなやつだよ

資格試験を動物で例える人、初めて見た
会場は立川。
去年、技術英検1級を受けたときから、うすうす感づいてはいました。
そう、結構レアな資格のせいか、受験者は少ない。
ただ、プロフェッショナルになると、受験者はなんと3人。
3人です。
試験会場というより、選ばれし者たちの小規模な儀式でした。
選ばれたというか、選んだんですけどね。
そもそも技術英検プロフェッショナルとは何かというと、技術英語の記述式試験です。
プロフェッショナルの合格基準は「合計75%以上、150点以上」。ただし、1問でも得点が50%未満だと、合計点に関係なく不合格です。
さらに、プロフェッショナル受検者のうち、合計60%以上、120点以上なら準プロフェッショナルとして認定されます。

それ、やばくない!? なんで受けるの?

やばいよね。だけど、技術英検ってなんか好きなんだよね。ピアノアレンジに似ているというか

無理やりブログの趣旨に合わせなくていいって……
試験開始前は、もっと仲間意識みたいなものがあるのかと思っていました。
「お互い、ここまで来ましたね……」
「ええ、辞書は持ちましたか……」
「もちろんです……」
みたいな。
でも、そんな空気は一切ありませんでした。
集合してください、となった瞬間、みんな無言でお気に入りの辞書を準備。
前の席で受けていたベテランらしき方は、辞書に付箋を貼っていて、必要なページをすぐ引けるようにしていました。
一方の自分は、中古で買った辞書を、後ろ髪を引かれながら机に出していました。
そう。
辞書デュエルの時間なのである。
※嘘です。
今回使った辞書は以下です。
和英辞書:今まであまり役に立たなかった(用語が載っていないことが多かった)けど、今回の試験を受けてみて、今後もっと役立ちそうです。後述の問題の単語も載ってました!
英和辞書:コンパクト、かつ語数が多くておすすめ!
過去問を解いていると、「辞書があっても結局使えないな」と感じることが多かったのですが、今回はけっこう役に立ちました。
少なくとも、持っていなかったらさらに崩壊していたと思います。
試験開始!
過去問を解いている感触では、時間は多少余るはずでした。
「本番もまあ、なんとかなるでしょ」
と思っていたのですが、実際はギリギリ。
プロフェッショナルの試験時間は120分。出題形式は、大問Iが英文要約50点、大問IIが和文英訳30点、大問IIIが冗長和文の英文要約40点、大問IVがテクニカルライティングの考え方40点、大問Vが冗長英文のリライト40点です。
自分は大問を最初から順番に解くスタイルです。
目標時間と実際の時間配分はこんな感じでした。
| 大問 | 目標時間 | 当日かかった時間 |
| 大問I | 40分 | 50分 |
| 大問II | 24分 | 30分 |
| 大問III | 24分 | 20分 |
| 大問IV | 15分 | 10分 |
| 大問V | 15分 | 10分 |
| 予備 | 2分 | 0分 |
いま見ると、予備とは何だったのか。
もはや精神安定剤です。
大問I : 長文要約
体内時計の英文要約
大問Iは、体内時計に関する問題だった気がします。
最初に読んだとき、妙な違和感がありました。
文章が読みやすい(怪しい)
「あー、これは去年の合格者が少なかったから、調整に入ったな」
「つまり、合格者を増やすために易化したんだな」
などと、あほみたいなことを考えていたら、10秒後に崩れました。
自分の作戦は、プロフェッショナル合格ではなく、まずは準プロフェッショナル狙い。
だから、とにかく拾うポイントを間違えないことを最優先にしました。
- 原文をなるべく生かす。
- 使える表現はパクって、パズルのように配置する。
- どうしても必要なら、苦肉の策で要約する。
いわば省エネ作戦です。
なぜなら、自分で考えたかっこいい要約は、たいてい何かしら文法ミスを含んでいるからです。
安全第一。
これまでの大問Iは、わりと以下のような流れが多かった印象でした。
ある技術が見つかりました
→ こうやって見つけました
→ メリットはこれです
→ デメリットはこれです
→ こういう活用法があるかもしれません
ところが今回は、体感としては全然違いました。
体内時計は大事です
→ 体内時計の乱れはガンの原因になり得ます
→ 深夜労働する人はこうした方がいいかもしれません
→ 深夜労働しない人はこうした方がいいかもしれません
みたいな展開だった気がします。
何が困ったかというと、対比させる軸がよく分からなかったこと。
メリット・デメリット型でもないし、技術紹介型でもない。
対処法らしきものはいくつか出てくるけれど、それが「例」なのか、「要約で拾うべき中心情報」なのかが分かりにくい。
読める。
でも、要約しにくい。
これが一番きついです。
15語要約は、たしか以下のようなことを書きました。
Disruption of the body clock may increase cancer risk, and good sleep is the key.
(ちなみに、is the key という表現は、某技術英検対策セミナーの講師の方の表現を参考にしました。)
「複数ある対処法のうち、一つだけ挙げて the key って言っちゃっていいのか?」
という気持ちはありました。
ただ、講師の方が使っていたので、今回も言っちゃいました。
権威に弱い。
問題は、good sleep が本当に key と言えるほど中心的だったかどうかです。
ここはやや不安です。
120語要約は、とりあえず埋めたという感じでした。
字数は最初は数えていたのですが、途中から時間がなくなって数えられませんでした。
たぶん、少しオーバーしている気がします。
自己採点:25点 / 50点
大問II:和文英訳
長い。
そして最後の文章に「お待ちしてます!」みたいな「!」が付いていて、謎に煽られている感じがしました。
よくないですね。
試験中に問題文へ感情を持ち込んではいけません。
内容としては、オフィスの廃棄物処理業者を紹介する広告っぽい文章だったと思います。
ただ、メールなのか、広告なのか、Webページなのか、そこは少し謎でした。
特に困ったのが、以下のような情報が一文に詰め込まれていたことです。
「コスパが良い」
「ニーズにも合う」
「廃棄物に適した業者を選ぶ」
「業者によって品質がばらばら」
長い。
日本語としても長い。
そして極めつけは、コア単語でやらかしたことです。
オフィスから出るゴミを、たしか scrap にしてしまいました。
今思えば waste が一番よかったと思います。
garbage でもまだマシだったかもしれません。
ただ、garbage は家庭ごみっぽいイメージが強くて、それを避けようとして、scrap に逃げてしまいました。
逃げた先が崖でした。
ゴミ収集業者も、辞書を引いてなんとか書いたのですが、たぶん微妙です。
waste collection company とか、waste disposal company みたいな表現にした方が自然だったのでは、と思います。
一方で、「サービス品質がばらばら」という部分は、
vary in the quality of their services
みたいな表現を書けた気がします。
合っているかは分かりませんが、少なくとも scrap よりは人間の言葉に近いはずです。
おそらく、waste や waste disposal company はコア単語です。
ここを外したのは、かなり痛い。
それでも、辞書を持っていてよかったです。
辞書がなかったら、もっと何も書けなかったと思います。
自己採点:10点 / 30点
大問III:和文英訳(字数制限あり)
遺跡をツアーに組み込んでもらう英文要約
ツアー会社に対して、遺跡Xを旅行コースに組み込んでもらうよう依頼する文章の要約でした。
今思えば、だいぶ怪しい商売です。
今どきなら、普通にネット広告を打つのではないでしょうか。
それ以前に、
「もう技術関係ないやん!」
と思いながら解いていました。
拾ったポイントは、たしか以下のような感じです。
遺跡Xは世界遺産に登録された
数千年前の生活様式が残っている
水の保存形式に特徴がある
世界遺産登録後、注目を浴びている
ツアーコースに組み込んでほしい
100語くらいしか使えないので、これ以上細かいことは入れられないと判断しました。
この判断自体は、たぶん妥当だったと思います。
ただ、大問2と同じく、あほみたいなミスをしました。
「遺跡」は ruins でよかったはずです。
なのに、試験中の脳内会議が始まりました。
「ruin って廃墟じゃない?」
「遺跡って言っていいの?」
「いや、もっと上品な表現があるのでは?」
「remain でいけるんじゃない?」
そして remain を採用。
しかし、遺跡という意味なら remains。
s が要る。
終わりました。

sひとつでそんなに変わるの?

変わるんだよ。英語ってそういうところが急に牙をむくんだよ
これもコア単語です。
かなり痛い。
ただ、world heritage site は書けました。辞書に足向けて寝られないですね。
また、「数千年前の生活様式が残っている」という部分も、単に lifestyle とするのではなく、「数千年前の人々の生活様式」のように、少し補って書けた気がします。
そこはよかった、と自分に言い聞かせています。
自己採点:20点 / 40点
大問VI:テクニカルライティングの考え方
大問4は、テクニカルライティングの考え方を英語で説明する問題でした。
20語程度 × 2問だったので、最初は簡単そうに見えました。
しかし、出てくるテーマが少し特殊で、意外と考え込みました。
たしか、以下のような問題だったと思います。
E-mailの読者を意識する理由
Toの使い分けの理由
設問に「著者によると」と書いてあったので、本文中の表現をかなりそのまま使いました。
これが正解なのかは分かりません。
E-mailの読者を意識する理由については、読者によって background が違うので、略語を使ってよいか判断する必要がある、という趣旨で書きました。
正直、「略語」は少し細かすぎる気もしました。
ただ、「著者によると」と指定されていたので、本文から逸脱しない方がよいと判断しました。
Toの使い分けについては、受け取り手が返信すべきか、アクションを取るべきか判断できるようにするため、という趣旨で書きました。
単に、
because readers have different backgrounds
だけだと、短すぎる気がします。
20語指定なので、何かプラスアルファで足すべきだと勝手に読み取りました。
この判断がよいかは知りません。
ただ、少なくとも大きく外してはいないと思います。
自己採点:32点 / 40点
大問V:AIで書いた文章のリライト
大問Vは、AIで書いた文章をリライトする問題でした。
これは、技術英検協会の信念を感じました。
AI時代だからこそ、技術英語を学ぶ。
これは分かります。
でも、
「こんなに大げさに出題しなくてもよくない!?」
とも思いました。
あと、本当にAIが書いた文章なのかは少し怪しいです。
なぜなら、かなり回りくどく、文法が不自然な箇所もあった気がするからです。
わざと人間が「AIっぽい悪文」に加工しているようにも感じました。
問題は4問構成でした。
覚えている範囲では、以下のように書いた気がします。
1つ目は、挨拶文のリライト。
原文の extend の意味が少し分かりにくかったので、定型句を試されていると信じて、
I hope this message finds you well.
のような方向で書きました。
ちょっと怪しいです。
2つ目は、都合が悪かったら前もって教えてください、という内容だったと思います。
you are unable to... のような表現が冗長だと判断して、
If you cannot join, please let us know in advance.
のような方向にしました。
3つ目と4つ目は、正直あまり覚えていません。
覚えていないということは、たぶん脳が自己防衛しています。
自己採点:28点 / 40点
総評
自己採点は以下です。
| 大問I | 25 / 50 |
| 大問II | 10 / 30 |
| 大問III | 20 / 40 |
| 大問IV | 32 / 40 |
| 大問V | 28 / 40 |
| 計 | 115 / 200 |
準プロフェッショナルの認定基準は、プロフェッショナル受検者のうち合計60%以上、つまり120点以上です。
なので、自己採点ベースでは5点足りません。
恩赦があり、奇跡が起き、徳が積まれていると判断されれば、準プロフェッショナルに届くかもしれません。
ただ、たぶん厳しいでしょうね。
セミナーに15,000円積んだんですけどね。
(金を積むとは言っていない。)
全体的に、遺跡とか、ゴミとか、技術用語と直接関係ない題材が増えた印象でした。
必死に vertebrates とか、constellation とか、どや顔で使いたくなる単語を覚えていったのですが、使う機会はありませんでした。
準プロフェッショナル合格までは頑張ってみたい気持ちもあります。
ただ、生活の中で頭のリソースを地味に食い続けるんですよね。
キリのいいところで断念する判断も必要かもしれません。
料理しながら、
constellation... constellation...
とつぶやいている父親は、たぶん嫌ですよね。
結果を見て判断します。
コスパ的には、次は英検準1級、そこから英検1級の道に行くのもありかなと思っています。
こちらの方が対策しがいがあるし、会社からの報奨金も大きいので。
伏線回収
最後に、技術英語とピアノアレンジの関係の話をします。
技術英語って、答えがあるようでないんですよね。
プロと呼ばれる人が書いた芸術的な英訳を見せられて、
「これが模範解答です」
と言われる世界です。
たしかにすごい。
すごいのは分かる。
でも、それをどうやって自分が再現するのかが分からない。
ピアノアレンジも同じです。
誰かが作ったアレンジはすごい。
でも、じゃあ自分がどうやって作るのか。
そこが一番難しい。
技術英語には3C、つまり Correct, Clear, Concise という原則があります。技術英検でも、英語文書作成力を3Cの視点で評価すると説明されています。
ピアノアレンジにも、自分が口酸っぱく言っているように、
3rdを弾け
があります。
原則がある。
でも、原則を知っているだけでは書けないし、弾けない。
結局、具体例を見て、分解して、再現して、少しずつ自分の手癖にしていくしかないのだと思います。
ピアノアレンジをできるようになった過程を、技術英語にも活かせないか。
最近、そんなことを考えています。
そして、世界にピアノアレンジ講座を発信するときにも、英語は必要になります。
AIを使ってもいい。
でも、AIの文章はどうしても冗長になりがちで、余計な単語を足しがちです。
自分で編み出したアレンジ手法を、自分の言葉で、できれば英語でも世界に発信したい。
そのために、もう少しだけ英語も頑張ってみます。


