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ピアノアレンジの注意点

前項まででコードのアレンジの簡単な方法については説明したつもりです。コードは意外と自由に変えていいことがお分かりいただけると思います。
しかし、このコードも、メロディーとの兼ね合いによって、その場所にあっていいのかどうかが決まります。それを判断する方法を説明します。

まず、以下の二点に該当するコードは、その場所につけてはいけません。(つけてもいいけど、あまり受け入れられない響きがする)

1あるコードの構成音が、他に弾いている音と短9度の音程を成す

短9度がわからないかたは以下をご覧下さい。

短9度とは、オクターブ(完全8度)を越えていますが、これは実質短二度と一緒です(ある音はオクターブ上下させてもよい)。これは、結構気をつけなければいけません。頻繁に起こりうる現象です。

 

[演奏例 OK]

[演奏例 NG]

実際に演奏を聞いてもらえば分かるかと思いますが、NGの方は一小節目でなにやら変な感じがします。

NGの1小節目をEm7とした理由は、同機能のコードは交換できるためです。C6(トニック)を置き換えてEm7としたわけです。(C6というのは、Cのコードに6番目の音、つまりラの音を付加したもの。CM7と機能は一緒)。

なんで、Em7だとだめかというと、 Em7の5thであるシの音と、メロディーであるドの音が♭9thの音程にあるからです。つまり、シからみるとドの音は短2度ということになり、これはまずいです。この短9度と聞いて、

あー半音でぶつかるのはマズいのか。。。

それは半分間違いです。

同じ半音のぶつかりでもM7の音はいいんです。ただ、「半音のぶつかりはまずい」って覚えておくと、このCM7コードのドとシのぶつかり(?)はまずいといえます。じゃ、上の楽譜の例と何が違うのでしょうか。それは コードの構成音からみてメロディーが 短9度というのが問題です。見る順番が重要です。

上のCM7の例では、コードの構成音であるドの音と、メロディーであるシの音は、長7度の関係であるので問題ありません。

ただ、もう一つ前の例に示したEm7では、コードの構成音シからみて、メロディーがドであるんで、これらは短9度となりまずいです。CM7とわざわざM7として長7度のシの音を弾けって言うんですから、問題あったら困りますけど・・・

ですので、Em7のときにメロディーがドはまずいということです。これは任意の調のIIIm7コードから見て(今はkey CだからEm7)、その調の1番目の音(ハ長調の1番目の音、つまりド)がまずいということです。

たとえダイアトニックコードでも、ちょっと立ち止まって考える必要があるってことですね。ただ、短9度が良い場合もあります。それはドミナントコードのテンションとして♭9thを使用している場合ですが、これは以下で説明します。

2ドミナント以外で、コード構成音とメロディーが増4度の音程となっている。

例えばkey C、Dm7コードのときに、シの音は弾いてはいけません(短く弾くのならOK)

[演奏例]

上の例は、そんなに違和感はないですよね?でも、これはまずいんです。Dm7の3rdであるファの音と、メロディーのシの音が増4度の音程だからです (ピアノ鍵盤で確認してください)。その次の拍のG7のコードにもファとシの音程が現れています。これを説明するのには、ドミナント7thコードの原理についての理解が必要なので、後に回しますが、要するに「ファとシが増4度で、Dm7とG7の区別が無くなってしまっている」ということです。ファとシの音は、いわば G7たらしめる音です。つまり、G7がドミナントであるという機能はこの二音(ファとシ)に集約されてるんです!(つまりG7さんしか、弾いてはいけない音)。

一方、Dm7はサブドミナントです。
ファとシの音が入ってしまうと、ドミナントになってしまい、Dm7をサブドミナントとして弾いていることになりません。上の例にコードを正しくつけるとしたら、G7/D → G7 →CM7となります。

3IM7の和音で、その調の第4音が長く使われている

例えばkey C、CM7において、ハ長調の音階の第4音(つまりファ)はそんなに長く弾いてはいけません。そんなにってのは、そうですね、2秒以上でしょうか(個人的な感覚)。

下のかえるの合唱の 楽譜では、ラの音がkey Eの第4音にあたります。(ピアノの鍵盤で確認。何が第4音かがわからなかったら、以下で音階を復習)。

[演奏例]

上の例も問題ないかと思います。何でかというと、”そんなに長く”使っていないからです。ただ、下のような場合は問題アリです。


[演奏例]

 

上の例では、最後の小節に違和感があります。これは、GM7というコードのときに、key Gのスケールの第4音であるドの音が"長く"使われているからです。上のかえるの歌と、よく聞き比べてみてください。よく、このドの音を アボイドノートとかいったりします。ドレミファソラシドのハ長調の音階も、実は第4音であるファの音は仲間はずれだったということです。

[応用] アボイドノート
アボイドノートは、実はこのページの冒頭で説明した、"コードの構成音から見て、短9度の音は短めに弾く"の法則を言い換えただけです。
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