リハモの準備
理論書なんかにはサラっと書いてありますが、実は非常に重要な大前提を書きます。ピアノアレンジをする際には是非これらを念頭においてください。
1任意のコードの前にコードを入れられる
ある曲をアレンジするときには、すでにコードが与えられている、もしくは、自分でコードを付与している状況下にあると思います。(0からコードをつける方法は以下を参照)
この前提1. は コードをどこにでも書き加えられるという非常にありがたい前提です。何を書き加えるかというのは、今後の講座で説明します。書き加える中心となるものは、主にセカンダリードミナントや、それに伴うツーファイブのコード達、あとは、パッシングディミニッシュ・・・などです。以下はセカンダリードミナントを追加した例です。
[演奏例before] [演奏例after]FM7の前にC7を入れたことにより、FM7への解決感を出しています。
まず空白で暇だから何か入れよう→FM7の前だからこれに解決するセカンダリードミナントのC7を入れよう。という思考回路です。もちろん、二小節二拍目のFM7とC/Eの間にコードを入れることも出来ます(自分ならG7/Fを入れる)。
ただ覚えておいて欲しいのは、コードを入れすぎると(=詰め込みすぎると) なんだか慌しい感じになるということです。これを ハーモニックリズムが上がったと言います。なので、あまり詰め込み過ぎないようにした方がいいです。一小節に2コードくらいが目安です。
2すでにあるコードを取り払うことができる
すでにあるコードを取り払うことが出来ます。しかし、後続のコードに影響のない範囲で、という条件がつきます。取り払うとしたら、ツーファイブの解除をしたり、セカンダリードミナントをわざとはずしてみたり、前項で説明したときに追加したコードを取り払うのが主だと思います。
[演奏例before]
[演奏例after](そのツッコミは無しで...)
beforeは一小節目の2拍目から、key Fのツーファイブとしてリハモしてありますが、これを取っ払ってずらしたものがafterです。
・・・そんなに違いは分かりませんね。理由としては、beforeのGm7が第一展開形のため、いまいち効果が弱いです。ツーファイブについては後に説明します。すでに上の例でもありますが、 コードをずらすことも出来ます。しかし、ずらしてよいかは耳で聞いて判断することが多いと思います。
3ある音は、オクターブ上下させても機能は同じ
これは先の話になるのですが、コードの転回型のことです。下の例ではC7というコードに対して、解決先のFのルートに半音下から解決すべく、ミの音をオクターブ下げています。
これはC7/Eとなっていますが、おなじC7のコードです。詳しくは以下で説明しています。
4耳で聞いてOKならそれで良し
耳で聞いて、自分の判断で良さそうって思ったら、たとえ理論がおかしくてもそれでいいんです。
でも、理論というのは、大体の人が心地よく聞こえる指針をまとめたものなので、理論はある程度守った方が安全です。逆に、理論がどんなによくても耳で聞いてダメそうなら、それはやめておいた方がいいです。
やっぱり、「こういうときはこうコードを変えろ!」って言っても、曲との相性がありますから、 最後の頼りになるのは自分の耳、感性です。一発で上手くいくことなんてそうないです。一見すばらしく完成された曲でも、コードひとつひとつはあーじゃねこーじゃねという試行錯誤の賜物だったりします。